〜Side by ゼロス〜


「全てを水に流してあなたを魔族にスカウトしようかと・・。もちろんそれなりの
代償はお払いするということで」

竜の血と魔族の血に苦しむヴァルガーブにそう告げた。

「・・・代償だと?」
彼は憎憎しげに僕を睨みつける。
まぁ、無理もありませんけどね・・・。
しかしこれも仕事です。

「もしあなたが僕たちの仲間になって下さるなら・・・」
仲間・・・くすくす・・おかしな言葉ですねぇ。

「ガーブが消滅する原因となった・・・」
僕は杖を握り締める。
「つまり、リナ=インバースを・・・僕が責任を持って提供しましょう」
リナさんを裏切りましょう・・・。
ただその時は・・・。

「もちろん僕のこの手でリナさんを殺してもいいですよ?」
ヴァルガーブの手にかけるくらいなら・・・・。
リナさん・・・あなたは僕の手で・・・その輝きを終らせたい。
誰にも・・・僕以外の誰にも・・・・あなたは・・・・・。

「僕は魔族ですよ」
側近に継ぐ力を持つ純粋なる魔族・・・その僕が・・・・。
リナさん。
あなたにこれほど執着を持っているなんて・・・笑い話にもなりませんよ。
でも・・・・仕事ですから・・・・。

「返事を聞かせていただけますか?」
僕にリナさんを殺す機会を与えてくださるんですか?




 〜Side by ヴァルガーブ〜



岩間で苦しむ俺の前に相変わらず不気味な笑みを浮かべたゼロスが現れた。
だが、すぐに攻撃しようとはしてこない。

「あなたを魔族にスカウトしようかと。もちろんそれなりの代償はお払いするという
ことで」
何を馬鹿なことを言っている。
どんな代償を払おうとも失ったものは二度と還ってはこない。

「・・・代償だと?」
そんなもの何の意味もない。

「リナ=インバースを僕が責任を持って提供しましょう」
ゼロスの暗紫色の瞳が輝く。
何かを・・・渇望する瞳・・・・。
その言葉の裏に何を隠す?
何を望む?

「もちろん僕のこの手でリナさんを殺してもいいですよ」
ゼロスから伝わる感情は・・・・・・『歓喜』

こいつは俺を魔族の仲間にすることなど何とも思ってはいない。
この『感情』は・・・リナ=インバースに向けられたもの。
愚かで弱き人間・・・・に。
何故、それほどまでに執着する。
滅びを望む忌むべき存在でありながら。

何故・・・・・・・・・・・『生』jに執着する・・・・・・?

「返事を聞かせていただけますか?」

返事など・・・・・・必要ない。




 〜Side by リナ〜



漸く事態を把握したあたしが駆けつけた時、そこには攻撃態勢にあるヴァルガーブ
と倒れ伏したゼロスの姿があった。

「いったい何がどうなってるのっ??」
「リナ、さん」
ゼロスの姿をみる。
体を縦に走る刀傷・・・・・・・・ヴァルガーブか。
ゼロスにこんな深手を負わすほどの力を得た・・・・ということ。

「はは・・・リナさんをあげるからヴァルガーブさんに魔族に入りませんかって言った
んですけど・・ふざけるなって怒られちゃいました・・・」

ずきっ。
胸を走る痛み。

そう・・・・ゼロスはあたしを売るつもりだったんだ・・・・・。
確かに『仲間』とは思ってなかったけどね・・・・・。
でも・・・・・・・・・・それでもこいつを・・・・・・。

あたしは沸き立つ思いを封じるようにゼロスを殴りつける。
どうせ・・・痛みなんか感じないんだから。
これはあたしの心を静めるための・・・・ポーズ。

「リナさんっ!それでいいんですかっ!!」
フィリアが叫ぶ。
いいも悪いもないのよ、フィリア。
あたしたちは利害関係が一致して・・・・それで一緒にいるだけなんだから。
あたしたちは『仲間』じゃない。

「ゼロスはあたしの便利なアイテムがわり」
あたしは吹っ切るようにそう言う。
だけど・・・・・ゼロスの顔は見れない。

今、見たら・・・・あたしのこの感情は吹き出してしまう。
そんなの出来ない・・・・許せない・・・・・言葉もなくこいつに、ゼロスに伝わって
しまうのは・・・・。

だから、それでいい。







『執着』『憎悪』『歓喜』『悲哀』『愛慕』・・・・・・

錯綜する感情は複雑に交叉する。
その行き先は誰にもわからない。
誰にも見通せない。


それが・・・・・・・『感情』








 ★あとがき★
   どうも遅くなりました!!これは200番ヒットのセリナ様に捧げます。
   どうしても一度はこのシーンを書いてみたくてビデオでセリフチェックしている
   うちに遅くなってしまいました。ごめんなさいm(__)m
   へっぽこな小説ですけどほ〜んの少しでも楽しんでいただけると幸いです♪
   では、ご拝読ありがとうございましたm(__)m



 

 
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