月の光も届かない、星の輝きさえない・・・真の闇。
そんな夜がある。
動物達は息をひそめ、人々は眠りに静んで朝を待つ。
彼らの望みはただ一つ。
一刻もはやく夜が終わり、朝の来たらんことを・・・。
真の闇の夜は・・・・・不吉で禍禍しい。
魔が跳梁跋扈し、「破滅」をもたらす。
「こんばんわ、リナさん」
そんな夜を過ごしていたリナに空から声がかかった。
「・・・・・・・ゼロス」
まさにこんな夜にふさわしい存在・・・・・・・魔族。
「いい夜ですね♪」
・・・・・いい夜、ね・・・・・・・・・・・・・・
「何もしなくても負の感情が満ちてますからね。まさに絶好の活動
日和というやつでしょう」
ぬけぬけとそうのたまう。
「ゼロス・・・・血の匂いがするわ」
彼からは【死】の気配が濃厚に漂う。
「・・・・敏感ですね、リナさん」
「・・・・・あんたが殺しすぎるのよ・・・・・・」
「僕は魔族ですよ・・・・・そんなものに何の感傷も抱かないことはご存知で
しょう?」
そう・・・・わかりすぎるほどわかっている。
リナはふいっと顔を逸らす。
「・・・・・・怒らないんですか?」
「なにを?あんたがどこで誰を殺そうと・・・・・・あたしには何も出来ない。
それでどうやって怒れって?」
それもそうですねぇ、とゼロス。
「・・・・でしたらこういう趣向は如何でしょう?」
ぱっと錫杖を振るう。
ぐらり、と視界が歪み、目の前に現れたのは・・・・・・
「・・・・っな!?」
目の前に広がるもの・・・それは魔族に攻撃を受けるセイルーンだった。
赤い炎が闇を染める。
街のあちこりから煙がのぼり、家は崩れ落ちている。
魔族の食事を満たすために・・・・いたずらに苦しみを長引かせられた人々。
城の尖塔も倒れ、半壊していた。
「これは・・・・」
「白魔術都市といわれるセイルーンもこうなってはおしまいですね」
呆然とながめていたあたしの横でぜゼロスがそう言った。
「どういうこと!?何で、セイルーンが・・・・っ!!」
「おや、まさか僕たち魔族がセイルーンを恐れていると本当に思っていたなんて
ことはありませんよね、リナさん」
「・・・・・・・・・」
「これまで放っておいたのは、無駄なあがきを続ける人間が滑稽で楽しませて
いただいていたからであって・・・・飽きてしまえば鬱陶しいだけですからね」
「・・・・・それでどうしてあたしに見せるのよっ!!」
今のリナはゼロスの結界越しにそれを見ている状態。
助けに行くことも出来ない。
・・・・アメリア・・・・っ!!
「・・・・これを命じたのが僕ですと言いましたら?」
「・・・・・・・許さないわ、絶対にっ!!絶対に許さないっ!!」
くっくっくっ・・・・。
リナの怒りに満ちた叫びにゼロスが笑いを漏らす。
「そう・・・その感情が欲しかったんですよっ!リナさんっ!!貴女の負の
感情ほど素晴らしいものはありませんっ!!」
「ふざけないで、ゼロスっ!!」
「僕はふざけてなどいませんよ。僕はいたって本気です」
「今すぐにやめさせなさいっ!!」
「僕が貴女の言葉に素直に従うとでも?」
「・・・・・・まさか、そんなこと思わないわ。でも従わないならあんたを
・・・・・・・・・滅ぼすっ!!」
「出来ますか?貴女に?」
ゼロスがリナの手をとる。
「華奢で・・・ひ弱な・・・・人間の手。僕が少し力を入れただけでも折れてしまう
でしょうね・・・・・」
「くっ・・・・・」
捕まれた手を振り解こうとするが、出来ない。
「・・・・ゼロスっ!!」
腕を掴んだままリナの背後にまわったゼロスはリナに壊滅寸前のセイルーンを
視界におさめさせる。
「どうです・・・・リナさん・・・あと少しで白魔術都市セイルーンの最後ですよ。
貴女は歴史の証言者になれるわけです」
「・・・・そんなの全然嬉しくないわよっ!!放してよっ!!この・・・・っ!!」
「ああ・・・・ほら、城が崩れます」
「・・・・・・っ!!」
「よく見ておいて戴かないと・・・セイルーンの最後を・・・アメリアさんの最後を」
ゼロスはリナの顎に手をかけ顔を逸らすことを許さない。
「貴女への・・・僕からの贈り物ですよ、リナさん・・・・」
ゼロスが耳元で囁く。
「・・・・いやっ・・・・・・・・・・・やめてぇぇぇっっ!!!」
リナの悲痛な叫びが結界を震わせた。
「リナさん・・・」
腕の中で意識を失った少女の名を呼ぶ。
「今夜のことは『夢』で済ませられる幻ですが・・・僕は貴女の負の感情を
得るためならどんなことでもすることを・・・忘れないで下さいね」
貴女は僕の最上の糧。
僕だけの・・・・・・。
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☆あとがき☆
ご拝読ありがとうございました!!
これは300ヒットの愛璃様のリクエストとなります。
魔族なゼロス・・・となりましたでしょうか??
・・・・でも相変わらずゼロスはリナに甘いような気もしますけどね(笑)
御華門も久しぶりにブラックなゼロスを書いてて楽しかったです♪
では、失礼しま〜すm(__)m
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