船の甲板で緑の腹巻をし、腰に3本の剣をさした男が深刻な顔をして立っていた。

 その目の前にいるのはこの船の・・・・船長。
 時に『海賊王』とも呼ばれる生きながら伝説となった人物でもある。
 だが、こちらの表情は剣士とはうって変わって楽しげで右手には先ほど釣ったばかりの大物を
 ”すっげーだろっ!”と言わんばかりに掲げていた。
 その様子は『海賊王』という大仰な肩書きにそぐわず、天真爛漫で見る者に微笑を浮かべさせず
にはいられないものだったが、やはり目の前の剣士の表情は険しいままだった。





「・・・・・・ルフィ」
「何だ?ゾロ?」
 ゾロの絞り出すような声にルフィのほうはいつものように軽く返す。
「・・・・・あの、な・・・・」
「ん?」
「その・・・・・」
「んんっ?」
「いや、だからだな・・・・」
「・・・???何なんだ、ゾロ?これが欲しいのか?駄目!やらなからなっ!!オレが食うんだから!」
「誰がいるかっ!!・・・・そうじゃなくてだな!!」
「何だよ〜何か変だぞ、ゾロ?」
 ルフィの顔が訝しげにゆがみゾロの顔を下からのぞきこむ。
 剣士は不覚にもその仕草にどくん、と胸が高鳴るのを感じた。

 そして、拳を握りしめると口を開いた。




「ルフィっ!俺と結婚してくれっ!!」






 








「・・・・・・・・・結婚?それ何だ?うまいのか?」
 一世一代とも言える大告白にこのルフィの言葉。
 ゾロは海の底までめりこむような脱力感を感じた。











 さて、とりあえずルフィに「結婚とは何ぞや」を教えるのも面倒で周縁は省略してゾロは一言こう
言った。
 つまり。
『ずっと一緒にいることだ』、と。

「ふーん、でもそんなの今さらじゃねぇ?だってゾロはオレの仲間なんだからずっと一緒にいるのは
あたりまえだろ?」
「ま、それはどうなんだが・・・・この結婚てやつは二人で一組なんだ」
「???よくわかんねぇな」
「簡単なことだ、俺と一緒にいたいのか居たくないのか?どっちなんだ?」
 こんな赤面もののセリフを白昼堂々と言うゾロではないが、ことルフィに関しては間接的にでは
いつまでたっても埒があかないことは長い付き合いでわかっていた。
「ん〜・・・一緒にいたい!!」
「よしっ決まりだ!!」
 少々詐欺のような方法ではあるがゾロはルフィから承諾の言葉を貰ったのであった。



 かくして、結婚式。



 抜け駆けのようにルフィと結婚することが決まったゾロに各所から不満の声があがったものの
なぜか皆、最後には黙り船上で結婚式が執り行われることになった。
 神父役はナミである。
「あたしは高いわよ」
 ・・・・・・・その言葉にゾロの言葉はひきつっていたが。

「それじゃ・・・え、と・・・・・病めるときも健やかなるときもお互いを支えあいルフィを愛することを
誓いますか?」
「・・・お、おう」
 ”愛する”というセリフに露骨に頬を赤くするゾロ。
「えーと、ルフィは?」
 いちいち繰り返すの面倒だったナミは省略した。
「いいぞ〜っ!」

 (・・・て本当にわかってのかしら、こいつ・・・)
 それはこの場にいた全ての人間の思ったところだろう。


「では・・・誓いの口づけを」
 ナミの言葉とともにゾロの背後で殺気が膨れ上がった。
 ゾロは同じ殺気でかえしながら、邪魔の入らないうちに・・・とルフィの肩を抱き寄せた。





 ドガァァンッッ!!!





 突然の砲弾の音に「何だっ!?」と声があがり、ゴーイングメリー号が盛大に揺れた。
 砲弾が飛んできた先には巨大な・・・・・・・・・・・・海賊船。

「あ・・・シャンクスの船だ!」
 ルフィが嬉しそうに叫んだ。

「「「「なにーぃぃぃっ!!!!」」」」
 もちろん一同は叫ぶ。

「シャンクス元気かな〜」
「そうじゃないだろうっ!!」
 呑気なルフィの言葉にすかさずゾロが突っ込む。
「俺たちを襲ってきたのか?」
「でも、それにしては一撃の後何もないのがおかしいわ」
「あれ〜、何か小船が近づいてきてるぞ・・・」
 ウソップが望遠鏡でのぞきながら報告する。
「見せなさいよっ!」
 ナミが横から奪う。
「ホントね・・・・・こっちに来てるわ。・・・・乗ってるのは・・・・一人、みたいだけど・・・・」
 そうする間にもそれはだんだん肉眼でも見えるほど近づいてくる。


 遠目からでもよくわかる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・赤髪。


「シャンクスだ〜〜っ!!」
 ルフィがお〜いっと手を振る。
 その呼びかけに答えるようにシャンクスが手をあげた。
 ・・・・と立ち上がると・・・・・・・・・・跳んだ。








「ルフィ!元気にしてたか?」
「おうっ!シャンクスも元気そうだな!」
 突然、目の前に落ちてきたシャンクスに動揺することなくルフィは元気に返事をかえした。
 そんなルフィの髪をシャンクスががしがしっとかきまぜる。
「シャンクス〜やめろよ〜」
「はははっはははは」
 ・・・・・・・・・・ラブラブ?

 自分たちそっちのけでイチャイチャされた一同は「怒」の文字を浮かべた。
 もちろんゾロはすでに抜刀。


「てめぇ・・・ルフィに馴れ馴れしく触るんじゃねぇ!!」
「ふん、若造が。お前のほうこそ俺のルフィに触ってんじゃねーよ」
「『俺の』だとっ!!」
 きらんっとゾロの刀が光る。
「だいたい、ルフィ結婚するなんてどういうことだ?」
 だが、そんなゾロを無視してシャンクスはルフィに問い掛ける。
「んあ?だって結婚てずっと一緒に居るってことだろ?俺ゾロとずっと一緒にするから結婚するんだ♪」
 そのルフィの言葉を聞いた瞬間、皆の胸中によぎったのは『ちっが〜うっ!!』ということだった。

「シャンクスも結婚するか?」
「・・・・・そうだな、結婚するか」
 ルフィの勘違いを重々承知しながらもシャンクスはにやりと笑うとルフィに「な?」と視線を向けた。
「ルフィっ!!!」
 もちろん納得いかないのはゾロである。
「どうしたんだ、ゾロ?」
 ・・・・・ルフィは全くわかっていなかったが。

「ふん、俺に内緒でルフィを手に入れようとしても無駄だ。ルフィの行動は一挙手一投足にいたるまで
俺は把握しているからな!」
 ”お前はストーカーかぁっっ!!!”
 と皆の顔は言っていた。

「てめぇ・・・・・・・・・・・殺るっ!!」
「はっはっはっは・・・・っ!!」
 殺気立つゾロとは対照的に余裕のシャンクス。
「あーっ!!シャンクスとゾロばっかりずりぃぞっ!俺もまぜろ〜っ!!!」
 そして、やっぱりよくわかっていないルフィだった。





 さて、結婚式は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かくしてお流れになったのだった。
 ご愁傷様、ゾロ。









★あとがき★

やっとUPすることができました!!
・・・ハードの初期化のときにバックアップとってなかったもので
途中まで書いてたのが全部白紙にされちゃったんですよね・・・・(T×T)
ということで新しく書き直して・・・と。

8000ヒットリクエストのなると様、少しでも楽しんでいただけたら幸いです(^・^)


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