■ 運命の輪 ■
++++ If 2
「ところで、ルカ。これからどうしよう?」 「・・・ここがどこだか知らんが、ハイランド領内ならばのんびりしている訳にもいかんだろう」 「だよね。君、一応死んだことになってるんだし・・・同盟諸国にも顔を知られているからまずい・・となると 情勢が落ち着くまでどこかに身を潜めていたほうがいい」 「お前のことだ。どうせ行き先はすでに考えているんだろう」 ルカの言葉に、ダナはにまりと悪戯がばれた子供のような笑顔を浮かべた。 「トランへ行こう。生き返ったとはいえ、ルカはまだ本調子じゃないし、万一を考えてトランなら色々と融通 がきくから」 「・・・いいのか?」 故郷ではあるがダナにとって一番近寄り難い地でもある。 「別にかまわないよ。僕の周りの人間はトランを出たことを特別な意味があるように思っているみたいだけど 僕がトランを出てきたのは、面倒な役を押し付けられるのが嫌だっただけだし」 「・・・・そういうことにしておいてやろう」 「・・・・嫌だな、そんな含みありそうに。ま、それじゃ出かけよう。途中で僕の保護者を拾わないといけないし ・・・でもその前にルカの服、何とかしないと・・・」 ルカの頭から下まで視線をやり、目を細める。 鎧は運ぶのに邪魔だからさっさと外して戦場に放り投げてきた。 激しい交戦でいたんでいたものの、素材は上等なものだ。誰かが持ち去り、証拠は消えただろう。 「言っては何だけど、全く王子に見えないね。・・・いいところで傭兵?」 「・・・悪ければ何だ?」 「追いはぎ団の頭目」 にっこり言われて、ルカの顔がひきつった。 ++++++++++++++++++++++++++++ ダナが近くの町までひとっ走りして一時間後。 「ルカ〜、いい子にしてたかなぁ?」 「・・お前、俺を馬鹿にしているだろう」 「ちょっと遊んだだけじゃないか。・・・えーと、ルカは体大きいからサイズ見つけるの大変だったんだよ。 それからここは同盟諸国だから念には念を入れて・・・」 ダナが麻袋から、じゃーんっと取り出したのは・・・金色の塊。 「それは何だ?」 「見て判らない?かつらだよ」 「・・・・・・誰がつけるんだ」 「ルカ以外に誰が居るの。君そのままだと目立ちすぎるから女装してもらうことにした」 「・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・本気か?」 「うん、本気」 「・・・・・・・・」 覗きこんだダナの目はどこまでも深い闇色で、ここで”嫌だ”とルカが言いでもすれば、問答無用で ”冥府”を放ちそうな程度に本気に見えた。 「服もね〜、体の線が見えないようにぶかぶかなローブをわざわざ探してきたんだよ〜」 見て見て、とはしゃぐダナ。 「・・・・・・。・・・・・」 もしや、ルカにも一緒に喜べというのだろうか?・・・・・・・・無理だろう。 腐っても・・一度死んでも、そこは王子様。女装などとは矜持がゆる・・・・・ 「はいv」 「・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・」 「は〜い、ルカv」 「・・・・・・・・・・・わかった」 笑顔という脅迫のもと、押し付けられたブツにルカは全てを諦めたかのようにうなだれた。 もしかして、あのまま死んでいたほうが良かったのではとまで思いながら。 かくして二人はトランへ向けて旅立った。 |
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思いっきり尻にしかれてます(笑)