僕は君と友達になりたい だって僕は君の友達だから
ダナ=坊ちゃん
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Boy meets Boy・・・?
赤月帝国の帝都グレッグミンスターは喧騒に包まれていた。 同盟との戦いに勝利したテオ将軍の凱旋パレードを皆が見ようと押し寄せていたからだ。 「グレミオ、父上はどこにいらっしゃるのかな?」 稚い声で隣に立つ男を見上げるのは、愛らしい 艶やかな肩まである髪を揺らして小首を傾げる様は好事家ならずとも相好を崩してしまう破壊力があった。 その美貌は幼くして誰の目にも明らかで、長ずれはさぞかしと思わせる。 「坊ちゃん。テオ様ならば恐らく先頭に・・・・・・いらっしゃると」 「どこ?」 「ああ、あちらに・・・・・・いらっしゃいますよ」 彼らが居るのはグレッグミンスターの城壁だった。街はあまりの人の多さで子供の身長では埋もれてしまう。 そこで身内の特権を生かして城壁という特等席を用意して貰ったのだ。 少女……否、付き添いの者の呼びかけからすると少年、なのだろうが……は、城壁の隙間から顔を出し、眼下に見える父親の姿を必死に探す。 「あ、父上っ」 己の父の姿に少年は喜び、笑顔を浮かべた。 眼下の父の姿はまだ遠いが、馬を歩ませる姿は記憶に違わず威風堂々としている。 「お元気そう……」 百戦錬磨の猛将と名高いテオとは言えど、心配が無いわけが無い。 戦は勝ったのだろうか、怪我はしていないだろうか。 帝都で留守を守りながら幼い少年が胸を痛めていたことを隣に立つ青年は知っている。 「良かったですね、坊ちゃん」 「うんっ」 さすがに城壁からでは父親には見えないだろうが、少年は手を振って父の無事を喜んだ。 「お帰りなさいませっ!」 「おお、ダナ。元気にしていたか?」 「はいっ!父上もご無事で……?」 王城での皇帝との謁見を終わらせてマクドール家に帰ってきたテオは一人息子の出迎えを受けた。 しかしその一人息子はテオの背後に何かを見つけて視線を流す。 「誰、ですか?」 そこに居たのは父親の部下であるアレンでもグレンシールでも無く、ダナと同じ年頃の少年だった。 「おお、紹介しよう。ダナ、この子はテッド君と言う。暫く家で暮らすことになった」 その父の言葉にダナの美しい目が瞬き、テッドと言われた少年にキラキラとした笑みを向けた。 「ようこそっテッド君!僕はダナ。よろしくね」 「僕……?」 ダナが差し出した手を少年は疑問とともに見つめた。 それに構わず、ダナは少年の手を強引に引っ張って握手をする。 少年の反応はダナに初対面の人間のよくする反応なので対処方法はわかっている。 「テオ・マクドールの一人 外見完璧な美少女であるダナに目を白黒させながらもテッドは小さく『よろしく……』と呟く。 そんな遣り取りを二人がしている間にテオはグレミオとクレオに指示を出す。 「ダナ、テッド君。挨拶はそのあたりにして食事にしよう」 「はい、父上!お疲れでしょう?」 「お前の顔を見れば疲れなど吹き飛んだ」 「ふふ」 父親の大きな手が頭を撫ぜ、ダナは微笑した。 テオの相好も通常からは考えられないほどにだらしなく崩れる。 これが恐れられるかの帝国五将軍のテオ・マクドールだとは誰も信じないだろう。 そんな親子の遣り取りを放置された少年が顔を引き攣らせて眺めていた。 |
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坊ちゃんはまだ猫被ってますよー(笑)
今年の11月の幻水オンリーがあるんですよね・・・
それに合わせて坊ちゃんとテッドの新刊を出したい!
ということで書いてみました。