お悩み相談室


++泰麒++





本日のお客様は、戴極国泰台輔です。
近頃のお悩みは何ですか?









 悩み・・・ですか?
 えーと、そうですね・・・驍宗様もまだ見つかってませんし、僕も出来損ないの麒麟のままですし・・・まぁ
 悩みだらけではあるんですが、そういうのを相談しても解決出来るわけでも無いので。
 え?それでは困る?
 ・・・そう言われても・・・僕も困るんですが・・・。
 そんな悲しそうな顔をしないで下さい・・僕も悲しくなりますから。
 ・・・あ。
 そういえば、一つ・・・悩み事というのとは違うかもしれないんですが。
 それでもいい?構わないから?
 
 泰麒は眉をしかめ、困った顔をしながら溜息をついた。

 ご存知かと思いますが、僕がこちらに戻ってこれたのは、景王のおかげです。
 彼女が居なければ、きっと僕はあちらで人としても暮らすことが出来なくなり・・・死んでいたでしょう。
 それなのに何のご恩も返せないまま、何も言わずに出てきてしまったことが今もずっと気にかかってます。
 同じ胎果だから、どんなに苦労されていることかとても心配です。
 僕は麒麟ですから、出来ることといったら知れてます。
 でも、彼女は王です。
 その肩に負わなければならない責任の重さは想像を絶するのもの・・・。
 僕なら、きっとその重さに負けてしまったでしょうが・・・彼女なら乗り越えていかれるでしょう。
 僕の心配なんて無用のものなんでしょう、きっと。
 でも。

 ふとした瞬間に、風に翻る朱色の髪や真っ直ぐに強い光を宿す翡翠の瞳などが脳裏に浮んで、
 ああ、今もきっと彼女は頑張っているんだろうな。
 僕も頑張らないといけない。
 そんな風に不思議と元気が沸いてきて、明日も頑張ろうって思うんです。
 
 ふふ、おかしいですね。
 まるで彼女が心の支えみたいです。
 
 麒麟が、恋なんてするのかどうか僕はわかりませんけど。
 この気持ち、似てると思いませんか?
 ・・・初恋もしたことの無い僕には、判断がつかないんですけど。







「李斎、驍宗様を無事にお助け出来たら、改めて景王にお礼を言いに行きましょうね」
「もちろんです、台輔」

 そのときが楽しみだと、泰麒は微笑を刻んだ。







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