春宵
‐しゅんしょう‐
2



【ATTENTION!!】
とってもパラレルです。
陽子が高校生です。一応。でも最強です(は?)
陽子を今の設定で高校生にしてみたかったんです!
ちょっとした出来心だったんです・・・・・・

以上。







 私立蓬莱高校。
 文武両道という言葉の通り、偏差値も高く、各部活動も全国的に好成績を維持している。
 生徒たちはどちらかに秀でているのではなく、両方にそれなりな成績を残さなければならないのだ。
 それはとても、とても大変なことである。


「祥瓊……助けてくれ」
「ちょっ!?」
 扉を開けて生ける屍のような……ゾンビのような人間が居たら誰でも慌てるはずだ。
 祥瓊に縋るように崩れ落ちた陽子に祥瓊は慌てた。いったい何事だと。
「どうしたのっ!」
 大抵のものは一人で退けてしまう陽子のその姿に、いったい何が起こったのかと祥瓊は慌てる。
 場合によっては方々に手を……
「間に合わない……期末試験が、私を襲う」
「は?」
 祥瓊の目が点になる。

「頼むっ祥瓊っ!勉強を……教えてくれっ!」

「……」
 がっくりと盛大に力が抜けた。
「わかったから、中に入りなさい」
「仰せのままに」
 その姿は校内で女子生徒たちに『お姉さま』と呼ばれている女帝の欠片も無かった。
 重たいリュックを背負っているがその中には恐らく参考書やら問題集が詰め込まれているのだろう。
「それで、何で今更そんなことになっているのよ」
 己の部屋に通して陽子を落ち着かせると尋問……事情を聞き始める。
 陽子は馬鹿では無い。少なくともこの蓬莱高校に入学できる頭はある。
「実は、部活の練習が……」
「テスト期間中はやってないはずでしょ」
「う……いや、テストが終わったらすぐに試合だから自主的に」
 陽子が説明するのを聞いていた祥瓊の目が鬼女の如く釣りあがって行く。
「文武両道!」
 びくっと陽子の肩が跳ね上がる。
「どちらか片方だけでは駄目だってことは、陽子もよくわかっているでしょっ!」
「うん……ああ、すまない」
「部長になって初めての試合ってことで気負っているのはわかっているけど、それで片方が疎かになってしまっていたら意味無いでしょっ!」
「その通り、です」
 陽子は項垂れる。陽子とてわかっているのだ。わかっていても不敗記録が陽子の肩に圧し掛かる。
 自分の代でそれを途切れさせる訳にはいかない、と。
 責任感の強い陽子らしい、これ以上無いほどに。
「いい!今回だけよっ!また同じことをしたら許さないから」
「っ祥瓊!ああっもちろんだっ!こんな不甲斐無い私についてきてくれている部員のためにも頑張るっ!」
「……そんなこと、あの部員たちは欠片も思っていないでしょうけど」
 ぼそりと祥瓊は剣道部の面々を思い出して呟いた。
 陽子の所属する剣道部の部員たちは、ほぼ陽子の信者と言っても過言ではない。
「ん?」
「まあ、いいわ。さあ、どれから始める?今日は寝かせないわよ……ふふふ」
「……」
 少しばかり頼む相手を間違えたかもしれない、と陽子は笑う祥瓊に慄くのだった。








 期末試験の結果は、無事にいつもの成績を維持して終わった。
 祥瓊には陽子からお礼の貢物が届けられたのだった。











お遊び2弾
<1>より時系列はちょっと前。