今日は月に一度のリナさんのメンテナンスの日。
「大層、プランツはお元気そうですね」
店主がリナさんを見て、微笑む。
それはそうだろう。
この店の扉を僕が開けようとしたら腕の中にいたリナさんが蹴りを一発。
・・・・・・・・・元気、どころではない。
「ますます可愛らしくなっているようですし、さぞ大事にされているのでしょう」
当然です。
僕にとってリナさんより大切なものなど存在しないのですから。
今だってこの腕にぎゅっと抱きしめてひと時たりとも放したくないほどなんですから。
「ゼロスね、あたしのこと愛してるの」
リナさんが店主に向かって天使の微笑みを浮かべ、ほんのりと頬を染めて報告する。
「それは良かったですねぇ」
くぅぅぅっ!!可愛すぎです!!リナさんっっ!!!!
(ゼロス壊れ中・笑)
「プランツはゼロス氏のことをどう思っているのですか?」
どくっ。
店主の何気ない質問に心臓が音を立てた。
「あたし?・・・・それは・・・・・・・・・・・・・・・秘密♪」
ずべっ。
な、何なんですか・・・それは・・・・・・リナさん・・・・・・・・・
「それは、あたしとゼロスだけがわかってればいいことだから。ね、ゼロス」
僕は肯くかわりにリナさんを抱きしめた。
「仲がよろしくて結構ですねぇ」
「ところで、店主。ガウリィさんという名前をご存知ではありませんか?」
メンテナンスを終え、帰ろうとした時、頭に浮かんだ名前。
「ガウリィさん・・・・ああ、そのプランツを造られた名工のお名前ですね」
「その人は今、どこに?」
「もうお亡くなりですよ」
「「えっ?!」」
僕とリナさんの声が唱和した。
「どうしてその名前を貴方がお知りになったのかは、わかりませんが、彼は・・・そのプランツをこちらに置いてすぐに他界されました。彼はプランツを置いていかれる時に仰っていましたよ。『こいつは俺の最高傑作・・・いや、もう命と同じだな。だから・・・本当に大切な奴に巡りあうまで・・・・封印させてもらう』・・・それならば傍に置いておかれたらよろしいですのにと申しましたら『俺ではこいつを幸せに出来ないから』と言われて。おそらくご自分の命の短いことをご存知でらしたんでしょう」
「ガウリィ・・・」
リナさんが囁いた。
「良かったですね・・・リナさん」
貴女は捨てられたのでは無かったのですよ。
「うん!!」
しかし・・・・・・・。
それでは、遊園地に現れたあの人はいったい何だったのでしょうか・・・。
確かに現れ方は唐突でしたし、何時の間にか居なくなってましたし・・・・。
幻・・・・・・なわけないですよねぇ。
すると、やはり。
『幽霊』、だったのでしょうか。
それにしてはいやに実態が・・・・・・・・。
幽霊なら、もう少し影の薄い感じがすると思うんですが。
腕の中のリナさんを見やる。
・・・・・心残りだったんでしょうか。
自分の命と同等だったというリナさんが幸せになっているのかどうか。
ですが、その姿が消えたということは、僕のことを認めてもらえたということですよね。
「リナさん、僕は誰よりも貴女は幸せにしてみせますからね」
僕にとってリナさんは命よりも大切な『ひと』ですから。
「・・・ありがと」
腕の中のリナさんが嬉しそうに微笑んだ。
「あたしもゼロスのこと幸せにしてあげるね」
あぁっ!!リナさん!!可愛いです!!!!
ちょっと元気すぎるところもありますけど、そんなところも愛してますよ!!
「ゼロス・・・・・・お腹空いた」
まだまだ愛を語るには早いようですが・・しくしく・・・
『リナ・・・・幸せになれ』
男の願いは叶った・・・・・・のだろうか?