「きゃ~っ、ママかわいいっ!」
「リナママ・・・きれい・・・」
「んー、リナさん昔とちっとも変わりませんねぇ・・・・」
街へ売りもののついで買いものしてきたリナは、家のリビングから聞こえてきた声に首をかしげた。
珍しくも3人・・・ゼロス、セリス、ルシアが仲良くしているようなのだが・・・。
不審に思ったリナはそっとリビングを伺った。
・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・っ!!!?」
赤い瞳を大きく、見開いたリナは絶句し、手に持っていた買い物をぼとっと床へ落とした。
「あ、リナママ!」
「ママぁっ!」
「リナさん。お帰りなさい。早かったですね」
「・・・・・・・あ・・・・あ・・・・」
それぞれに声をかけてくるのも耳に入らない様子で、リナはリビングの白い壁を指差す。
「ああ、これですか?なつかしいでしょう?」
「な・・・・・・・・・」
「何でそんなものがあるのよーーっ!!」
リナの叫びが響いた。
その白い壁に映されていたのは・・・・・
いつぞや、ガウリィたちと旅をしていた時に、大勘違いの結果、アメリアと共に踊ることになった、あの・・・
あの妙に乙女ちっくな衣裳で・・・っ!!!!
その風景が映し出されているっ!!!!!!
何故、こんなものが・・とあれを一生の恥とも思っていたリナは顔を真っ赤にしてゼロスに詰め寄る。
元凶は絶対にこの男だ。
「いえ、あのときのリナさんがあまりに可愛らしかったのでついついメモリに残してしまいましたv」
「しまいました、じゃなーいっ!!!!今すぐさっさと、即刻、すみやかに処分しなさいっ!!」
「「「えぇーーーーっ!もったいなーいっ!!!!」」」
三人の声が唱和する。
こんなときだけ、気があわなくてもいい。
「せっかくこんなに可愛いのに・・」
「もったいない~」
「もっと見たい~」
「・・・・・・・・。・・・・・・・」
「消すわよね?」
リナの目が、恐ろしいほどに据わりきっている。
このリナに逆らうことは誰も出来はしない。
「・・・・・・・・・・・・はい」
ゼロスは神妙に頷いた。
「獣王さま、すみません。リナさんに見つかってしまいましたので、ここで保管していただけますか?」
「いいわよ~vvそのくらい御安い御用♪・・・他にもあるんでしょ?バレないうちに出しときなさい」
「・・・・・・・」
「あら、リナちゃんにバラされてもいいの?」
「・・・・・わかりました・・・・本当に抜け目のない・・・」
「何か言ったかしら、ゼロス?」
「いえいえっ!・・・よろしくお願いします」