新婚初夜


今、あたしは危機を迎えていた。




「何で・・・あんたがここに居るわけ?」
「何で・・と言われましても僕とリナさんは”夫婦”ですから♪」
いや・・・それはわかってる・・・・・わかりたくはないけど・・・

「しかも今日、結婚式を挙げたばかりじゃないですか♪」
目の前のゼロスの顔はそれはもうご機嫌で・・・・て魔族のくせにこんなに 生の気出しまくってていいの?と尋ねずにはいられないほど。
「・・・・・・確かに、誰とは言わないけどある陰謀により、不本意ながら挙げた わね・・・・」
「もう、リナさんたら照れ屋さんなんですから。でもそこがまた好きなんですけどね
「・・・・・ゼロス」
「何ですか?」
「話を逸らそうとしても駄目よっ!!あたしは何であんたがここに居るのかっ て聞いてるのっ!!だいたいあたしの家に帰ってきてからずっと別々の部屋 だったじゃない!!」
そう、あたしとゼロスは別の部屋をあてがわれていたのだ。
(魔族に部屋が必要かどうかは疑問だが・・・)
セリスはあたしと一緒だった。
「仕方がないじゃありませんか、リナさんの所に行こうとするとルナさんに邪魔 されて行けなかったんですから」
どーりで・・・・・おかしいと思ってたのよ・・・・・・・
姉ちゃん・・・・ちょっと感謝。
「ですけど、結婚式も済ませたということでルナさんからのお許しがいただけま したので、晴れて僕とリナさんは一緒の部屋、ということで♪」
姉ちゃん・・・やっぱしさっきの感謝は取り消し!!
「こういう結婚式の夜を人間の間では・・・・確か・・・『初夜』とか言うんでした ね、リナさん♪」
顔の前で人差し指を立てるポーズ。
「いや~っ!!そんな単語思い出させないで~~ぇぇっ!!」
しょ・・・・”初夜”だなんて・・・・・は、恥ずかしすぎるじゃないっ!!
「そんな、もうセリスだって居るんだからしょ、初夜も何もないでしょっ!!」
「ありますよ♪だいたいリナさんの・・・花嫁のドレス姿に欲情しない男なんて 居ると思ってるんですか?」
「あ・・・あんたは魔族でしょ・・・」
「その魔族と子供つくっているんですから・・・リナさんが男じゃないなら僕が 男というわけです♪」
「う゛・・・・・・・・」
「ずっとリナさんに触れられなくて・・・もう少しで街を吹き飛ばすところでした」
「あ、あんたねぇ・・・・・・・」
「ですから今夜は今までのぶんを取り戻すべく頑張りましょう!!」
「・・・・・・・・」
が、頑張る、て・・・・・・いったい何をそんなに気合いれてんのよっ?!
「今夜は・・・・眠らせませんから
「・・・・・・っ!!!」
会話をしながらずりずりとゼロスに迫られベッドの端まで後ずさっていたあたし の腕をとると体を抱き寄せてゼロスの下に一瞬で組み敷いた。
「ゼ、ゼロスっ・・・ッ!!」
「静かに、リナさん。僕の名前を呼んでくださるのは嬉しいんですが、ここに 居るのは2人だけではありませんからね」
「あ、あんたね~~それがわかってんならやめなさいよっ!!!!」
、です」
にこ顔できっぱりくっきりはっきり言ってくれる。
「リナさん、僕と・・・・したくないんですか?SEX?」
「そそそそそそっっ!」
そんな単語使わないでよぉぉっっっ!!!!
何だか・・・今夜のゼロスいつになくキレぎみじゃない???
「そ?何ですか?」
「せ、セリスも居るんだし・・・ね?」
「セリス・・・そうですね」
あ・・・良かった・・・。
「セリス、ちょっと部屋の外に出ていて下さいますか?」
「はぃぃぃっ???」
「いいよ、そのかわりリナママに・・・」
ちゅっ!
「・・・・・まぁ今日は許してさしあげましょう」
「じゃ、リナママ・・・・・がんばってね♪」
な、何をあたしに頑張れとぉぉぉぉぉ???????
あたしは未だゼロスに組み敷かれたまま固まった。







「リナさん・・・・・・て何をそんなに緊張されてるんです?初めてという わけでもないのに」
「あ、あんたが変なこと言うからでしょぉっ!!」
「?・・・・・『初夜』、ですか?」
だから言うなって!!!
くすくすくす・・・・。
「そんなに恥ずかしい言葉でしたか?」
「・・・・・・あ、当たり前でしょ・・・・」
ご機嫌なゼロス。
「やっぱり結婚式というのもいいですね♪リナさんのこんな初々しいところが 見られるなんて・・・・思いもしませんでした♪」
「あ、あのねぇ・・・・んぐっ!」
「愛してますよ、リナさん
「・・・・・・。あたしも・・・・愛してるわよっ!」
もう・・・・駄目・・・・・・
「くすくす・・・・リナさん、貴女はいつまでも可愛らしいですね
「う、うるさいわよっ!!」
あたしはゼロスにこれ以上しゃべらさないようにその首にしがみつく。
「リナさん・・・・」
耳に触れるゼロスの声・・・
ぞくり、と背筋が震えた。








翌日。
ゼロスの宣言通り、あたしは夜明けまで開放してもらえず、目覚めた時には 足腰立たなくなっていたのだった。

もちろん、元凶のゼロスは竜破斬で吹き飛ばしてやった。

飛んでいくゼロスの顔が妙にニヤけていたのはあたしの気のせいということにしておこう・・・