celestiale



 チェレスティアーレ…・・



「雲雀さん?」
 ノックも無しに入ってきて、そこで動きを止めた男にツナは首を傾げた。
「それ」
「ああ、さっき隼人が置いていったんです」
 ツナの両腕に、大輪の白薔薇が抱かれていた。
 大きな窓から差し込む光が、その白さをいっそう輝かせ……ツナの柔らかな中性的な容姿を際立たせている。その背に翼があっても驚きはしないだろう。
 そんな光景に、雲雀はらしくも無く息を呑んだ。
「いきなり渡されて……さすがに持ってるままってわけにもいかないので花瓶を取りに行ってもらってるところなんです。報告ですよね、ちょっと待って下さい」

「10代目!!花瓶っお持ちしま……っげ」
 花瓶を取って戻ってきたらしい獄寺が雲雀の姿に顔をしかめた。
「げ、とは何だい。相変わらず騒がしい」
「っるせーっ」
「隼人」
「はい!」
 このままではまた済し崩しに諍い(というなの闘い)が始まってしまうので、ツナはすかさず獄寺の名を呼び、薔薇を手渡した。
 夢のような光景が消えてしまう。
「……残念」
「雲雀さん?」
「いや、まぁ……騒ぐしか能の無い単細胞にしては、いい趣味なんじゃない」
「誰が単細胞だっ!」
「誰もお前だとは言ってないけど?」
「く……っ」

「あーもう、はいはい。二人ともここで喧嘩しないでね」
 にっこり笑ったツナに、二人の動きが止まる。
 10年前には無かった威圧感がそこにはあった。……さすがにボンゴレ10代目。