再会
・・・・・・・・これは幻だろうか・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・」
私のほうへ歩いてくるその人物に何も声をかけることができない。
驚愕・・・・茫然自失・・・・・・
私の指が無意識に手をにぎりしめる。
・・・・・・・・痛い。
いや、しかし・・・・・・夢でも痛みを感じることはある。
・・・・・・・夢、なのだろうか・・・・・・・・
悪夢・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・いや、
「ニック」
それは紛れもない彼の声。
「・・・・・・・・・・・ヴァクス・・・・・?」
ひびわれた擦れたような声しかでない。
・・・・・・彼に届いただろうか・・・・・・?
「ただ今帰りました、サー」
彼が近づき、笑いながらそう言った。
「・・・・神よ」
私は情けないことにそう呟くと気を失った。
たくましい腕に抱きとめられるのを感じながら・・・・・・・・
「サー、大丈夫ですか?」
どこかの部屋のベッドに寝かせられた私にヴァクスが覗き込んで尋ねてくる。
どうやら、夢、ではないらしい。
「・・・・・大丈夫、じゃない。心臓が止まるかと思った」
「そんなに驚かれましたか?」
「ああ」
人生で後にも先にもこれ以上驚くことなんてないのではなかろうか?
私が素直に肯くと、ヴァクスは破顔した。
「あなたにそれほど喜んでいただけると帰ってきた甲斐がありました」
「・・・・・・・・・・別に喜んでるわけではないかもしれないぞ?」
少々照れ隠しにそう言ってみる。
・・・・・・・・何だかやけに明るくないか?ヴァクスのやつ・・・・・
「喜んでくれないんですか?」
途端に今までの笑顔が消える。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私にはヴァクスまで消えてしまいそうに思えた。
「いや!!帰ってきてくれて嬉しいとも!!」
「俺も・・・・・あなたにもう一度会うことが出来て嬉しい」
私は腕を差し出した。
・・・・・・握手のつもりだった・・・・・・・・・・が。
気が付くと私はヴァクスの胸に抱きしめられていた。
「ヴァ、ヴァクス?!」
「ニック・・・・・奇跡の再会だ、今くらい許してくれ」
・・・・・・・・それは、まぁ・・・・そうなのだが・・・・・・・・・
・・・・・・仕方ない。
今、くらい抱擁で再会を喜んでもいいことにしよう。
そして、私もヴァクスの背中に手をまわしたのだった。
・・・・・だが、ちょっと待て。
「ヴァクス、君はいったいどうやって戻ってきたんだ?」
「そんなこと今はどうでもいいじゃありませんか、サー」
「いいわけあるか!!一番の問題だろう!!」
「まぁまぁ、それについてはおいおいに・・・・・話してさしあげますよ」
(・・・・寝物語にでもね・・・・・・)
「・・・・・・・・・・今日は、それで許してやるが、明日からはそうはいかないからなっ!!
ヴァクス=ホルサー!!」
「アイアイ・サー」
満面の笑顔で答える、彼。
そして、日常がはじまる。