麗しき我らが








 木の葉の隠れ里。六代目長。火影の名を継いだその人は歴代のどの火影よりも、容貌麗しく、力においても
 他里が一目置くほどであった。
 その火影の御名は『うずまきナルト』。
 里の忍、全てが崇拝の年を抱き、忠誠を捧げるその優秀さと美貌ゆえに、今、ある問題が浮上していた。
 その問題は里の広報を司る部署より提起されたのだが・・・・。

 曰く、『六代目火影に火影の衣裳は野暮ッたすぎるっっ!』というものだった。

 いつの世も、女性の力というのは恐るべきものがある。彼女たちに逆らってはいけない。
 そんなことをすれば、必ず後悔することになる。間違いない。
 その点、六代目火影は賢明であった。
 その問題提起を懐深く受け入れ、彼女たちの思うようにさせることを良しとした。
 そうと決まれば即実行。有能な忍たちである。・・・・とてもとても。


「はいっ!あの笠はいけませんっ!祭事の時は仕方が無いとしてもっ!普段まであれではいけませんっ!」
「そうですわっ!火影様の見事な御髪が隠れて非常にもったいないっ!」
「そう、いっそこのことあの笠は無しということで」
「賛成!」
「異議なし!」
 一応、議場には男の忍も混じっているのだが、ほとんど口出ししない。
 ・・・というよりは、させてもらえない。そんな口出しを許されないほど鬼気迫っているのだ、彼女たちは。
「では、次は衣裳ですが・・・」
「思いっきり豪華な装飾を施した衣裳にするのも良いとは思いますが・・・」
「いえいえ、火影様の麗しさを映えるにはいっそ簡素なほうが良いかと」
「最上の生地で、裾を流すように」
「ここで、火影様よりお言葉が・・・『どのようなものでもいいが、動きやすいように』とのことです」
「では、スリットを入れましょう!」
「体の線を表すような白銀の紗に、スリットを入れて裾裁きが容易になるように」
「それだけでは物足りませんから、上に緋の衣を・・・少し乱すように着ていただくというのは!」
「「「素晴らしいっ!!」」」
 ・・・何が?と男たちが内心で抱く疑問をよそに、話は進んでいく。
「では今ひとつ、スリット以外に案は・・?」
「膝上20センチ!」
「「・・・・は?」」
 男たちはすぐに意味が飲み込めず、口をぽかんとあげる。かなりの間抜け面。
「マーメイドラインで美しく、お御足を現していただきましょうっ!」
「上はノースリーブで!」
 きゃーきゃーと黄色い悲鳴で議場は埋め尽くされる。
 果たして、火影の衣裳はどのようなものになるのか、男たちは想像するだに恐ろしいと思うのだった。










「ナルト!いいの、凄いことになっちゃうよ?俺は好きだからいいけどv」
「・・・お前を喜ばせるつもりはさらさら無いが、俺は特に着るものに拘らないからな」
「火影様っ!そのようなことでは示しが」
 相変わらずお固いサスケが言い募る。
「示し?・・・今さら型破りの俺にそんなものは必要ない。そう・・・それが効果的ならばどんなものでも構わない」
「ナルト」
「さて、そろそろ衣裳が出来上がるころじゃないか?」
「・・・・平和だね〜」
「望むところだろう?」
 火影が口角をあげる。









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