紫禁の帳 麗姿の影
白い繊手が、真珠色の絹の上をゆるやかに泳ぐ。 寝返りを打つ度に、黄金の煌きが光を反射し、細い首を露にした。 飾り気のない、しかし上質の上掛けからのぞく夜着は目に痛いほど白く、肌蹴た胸元からは滑らかな肌と 艶やな匂いが香りたつ。 「・・・六代目」 呼びかけに、今まで長く優美な帳に隠されていた蒼玉がのぞく。 目覚めに潤むその宝石は、陶然とさせる魅惑の輝きを秘めていた。 呼びかけた人間はその眼差しに引き込まれたように、言葉が続かず、凝視して微動だにしない。 「サスケ、か・・・今日は」 落ち着きいたアルトの声はしっとりしていた。 神の造形もかくやと思われる指が、顔にかかっていた金糸を音もなく梳く。 ふ、と空気が動き、自然な艶を宿した桜唇が笑みを形作った。 そうすると、今まで神聖にして近寄ることさえ憚られていた存在に、驚くほどの生々しさが宿る。 ――― 誘われている サスケならずとも、そう思わずには居られない、しどけない姿だった。 『寝起きの六代目は凶悪』と呼ばれる所以である。 「・・・おはようございます、御召しかえを」 いつもならば、言われる前にすでに起き上がり服に袖を通し始めているのだが、今日の六代目火影・・・ ナルトは寝台から離れようとしない。 「・・・六代目?」 もしや体の調子でも悪いのか、と気遣わしげなサスケが近寄ると、白い手がその腕を掴んだ。 「!?」 そう力を込められているわけでもないのに、サスケの体は倒れるように引き寄せられる。 「・・・サスケ」 そして、耳元で吐息交じりに囁かれ、強く心臓が脈打った。 「っナル・・ト・・・」 肩書きではなく、名を呼ばれ・・・花が綻ぶように顔に微笑が広がる。 まるで押し倒すように、ナルトの上に覆いかぶさったサスケの視界には乱れた夜着から覗く肌が 露になり、色づいた宝飾さえ微かに見える。 忍であるナルトは香などつけているはずは無いのに、何故かむせかえるほどの香気に包まれている 感触がし、現実感が乏しくなる。 呼吸することさえ忘れ、サスケはそのままの姿勢で固まっていた。 くすり。 「!?」 「・・・まだまだ、だな。サスケ?」 今までの色気をさっと払拭し、口角をあげて笑うナルトに、サスケは顔を赤らめる。 「・・・し、失礼します・・っ!!」 顔を覆い、サスケは寝室から驚くべき素早さで姿を消した。 「・・・くっ・・くくくくくっ・・・」 残されたナルトは、寝台で体をくの字に曲げて笑っていた。 |
遊ばれてますよ〜、サスケ(笑)
もっとも対象はサスケだけではありませんが(ニヤリ)