− Boy's Insect −
俺は捕食者として生を受けた。 また、その名にふさわしい漆黒の身と糸使いの能力は同族の中においてさえ特別視され 別格に扱われてきた。 だが、実のところ。 サスケはまだ一人の犠牲者も出しては居なかった。 「また逃がしちゃって、いいのかな〜〜」 つー、とどこからともなく現れた同類・・・カカシはしかめっ面のサスケににやにやと笑って 羽ばたいていく蝶を指差す。 「・・お前には関係ない」 「まったく贅沢なんだからね〜、今の子なんかいい感じだったけど?」 「・・・っ誰が!あんなウスラトンカチ!」 「ふ〜ん、じゃ、俺が貰っちゃってもいいよね〜」 「・・・何だと?」 聞き捨てなら無いカカシのセリフにサスケは牙をむいた。 「だってあんなに綺麗な子なんて今まで見たことないもん。・・・極上の獲物だね」 「・・・・・・・・・・・」 同族の中ではこのカカシもまた異端だった。 しかも数年サスケよりも長く生きているだけ食えない奴だ。 今だってただサスケの反応を面白がっているのか・・・本当にあいつを狙っているのか。 その本心はわからない。 「あれ、蝶だよね。金に瑠璃・・・かなり珍しい」 「・・・・・・・・」 「・・・昔、一度だけ見たことがあったけど・・・うーん・・・」 カカシは意味不明なことをぶつぶつと呟いている。 何故、あいつを逃がしてしまったのか。 蜘蛛の糸に囚われ・・・もがくあいつを見て。 金の羽ばたきを見て・・・・。 ・・・・『これだ』と感じたはずなのに。 瑠璃色の瞳から流れる涙は・・・・・・・・・・・・・・・・純白だった。 「あれは・・・」 「ん?」 「あれは俺の獲物だ。手を出すな」 そう、あの黄色の獲物は・・・俺のものだ。 「ふーん、ようやくその気になったってわけだ。・・お手並み拝見♪」 「・・・・・・・」 おどけるカカシをサスケは凍りつく瞳で睨んだ。 「間違っても手出すなよ・・」 再度、念を押しておく。 「えー、そんなこと言ってもぉ〜、カカシ君やっぱり美味しそうな獲物が居ると捕まえ ちゃうしぃ〜〜」 「・・・・そのしゃべり方はやめろ」 悪寒と怒りにぴくぴくと眉間が動く。 「・・あいつに手を出したら」 「出したら?」 「お前を殺す」 「・・・・おーこわ。サスケったら本気ね〜〜」 おどけてみせるカカシは余裕だ。 そう、確かにカカシに比べればサスケなど、たとえ同族の中で抜きん出た能力を持って いようと経験の有無ではどうしても負けてしまう。 だが、カカシが本気でサスケの邪魔をしようと言うなら、こちらにも考えがある。 いざとなればどんな手段を使ってでもカカシを打ち落としてみせる。 サスケの口元に意味深な冷笑が浮かぶ。 その顔は狩人にふさわしく、初めて己が心を射止めた獲物に対する欲望と、支配欲 冷たい感情に昂揚していた。 (・・・・・・可哀想に) そんなサスケの表情に、カカシはどこの誰とも知れぬ獲物に一瞬の哀れみを覚える。 だが、一瞬にして消えうせてしまうあたり、カカシもまた狩人なのだ。 「ナルト・・・」 サスケは呟く。 それが獲物の名前だった。 |
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蝶々少年からだいぶ経ってしまいましたが(涙)
サスケ、やる気満々です(何をだ/笑)
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