![]()
過去、幾度となく危機を迎えた木の葉の隠れ里。 だが、しかし。 それを乗り越える度に強さを・・・輝きを増してきたのもまた事実。 他のどの里よりも、信頼を勝ち得、歴史を紡いできた。 栄華を誇る木の葉の隠れ里。 その長は『火影』と呼ばれた。 そして 歴代の数ある火影の中で文句なく最強を歌われた人物が居た。 その火影の名を 『うずまきナルト』 と言う。 |
「ふわぁ〜〜・・・」 椅子に座ったまま、大きくのびをした拍子に帽子に隠れていた髪が現れる。 窓から差し込む陽光に輝くそれは、目に眩しい金色だった。 「・・・・火影、そんな暢気にしている暇はありませんわよ」 「う゛・・・」 すかさず釘をさされ、苦いものを含んだように口が歪む。 「はい、次の書類です」 どさり、と机の上に置かれる。 「・・・・さくらちゃんってば容赦ないってば・・・」 「当然です」 「・・・・・・・」 あっさり返され、ナルトは気まずげにずれていた帽子を被り直した。 「・・・た、確かに抜け出した俺が悪かったかもしれないけど・・」 「自覚しているなら、さっさと仕事して下さい・・・」 「・・・・・・・・。・・・・・・・・はい」 火影などただの雑用係だとかつて言い切った、サクラ・・・元ナルトの同僚のくの一は 容赦の「よ」の字も浮かべる気配は無かった。 しぶしぶナルトは再び書類に視線を戻す。 (・・・いつになったらこの書類ってば消えるわけ・・・・?) 朝から火影執務室のこの椅子に座ってはや、5時間。 間に多少の休憩を挟んで貰えたとはいえ、この部屋からは一歩も出してもらえない。 (・・・こんなの火影の仕事じゃないってば!!) と心の中で叫んでも、冷静に次々と運ばれている書類を不要なものと必要なものに分け ナルトの目の前に現れるサクラには何も言えなかったりする。 それ以上に、いつもこんなことをしているサクラに尊敬の念さえ抱いてしまう。 (・・・これなら、普通に忍やって任務こなしてるほうがずっと楽だってば・・・) 「・・・・・ナルト、ため息」 「・・・っ!」 知らないうちについていたらしい。 サクラの指摘を受けて、ナルトは苦笑を浮かべた。 「全く・・・わかってたけど、ナルトの集中力はもって5時間ね。それ以上だと一気に効率が 悪くなっちゃうんだから・・・」 「そ・・そう?」 「そうなの」 先ほどとは違って砕けた口調になったサクラは困った子供を見るような笑顔を浮かべた。 「やっぱ俺にはむいて無いってば〜〜っ!!」 「その割にはきちんとこなしているけどね・・まぁ、あんたみたいに動きまわることが好きな 奴には確かにむかないかも」 「でしょでしょっ?」 「でもだからって手を抜いてもらっては困ります」 「・・・・・・・・・そろそろ休憩にしないってば?」 ナルトが伺うようにサクラを見る。 それにサクラは大きなため息をついてみせた。 「・・仕方ないわね。10分だけよ」 「やったーっ!!」 どこでどのように嗅ぎ付けてくるのか、ナルトの囁かなお茶会のテーブルを囲むのは 補佐を勤めているサスケに、カカシ・・・何故か未だに中忍のままのイルカにアスマや ネジの姿まであった。 これほどの上忍たちが揃えば圧巻であるが、少々暇人すぎるのでは無かろうかと 木の葉の現状に不安を抱かないでもない。 ・・・が、誰もそんなことは気にしないらしい。 「・・火影、ヒナタからの差し入れだ」 「うわっ!ありがとーっネジ!ヒナタにお礼言っておいてってば!」 差し出された白い箱の中には、旬の木苺で作ったパイが入っていた。 「美味しいっ!」 「こらこら、ナルト。独り占めしてないで先生にもくれよ」 横からカカシが手を出す。 ・・が、その前にナルトの手からそれを奪った奴がいた。 「・・・少しばかり甘すぎる気がしないでもないな」 「それはサスケが甘いもの苦手だからだってば!あ〜もったいないっ!イルカ先生と アスマ先生もどうぞってば」 「ありがとう、ナルト」 「お、すまねぇな」 「・・ナルト〜、先生にはくれないのか〜〜」 「あ、ご免、先生。もう済んじゃったってば」 「・・・・・・・・・」 満面の笑顔で悪気なく言われてしまえば、カカシは泣き寝入りするしかない。 サスケなどはそんなカカシを見て、「ざまーみろ」なんてありありと顔に浮かべているが。 「ところでさ、皆ここに集まってるってことは任務終了したんだよね?」 一同頷く。 「そっか・・・サクラちゃん、あれ持ってきてってば」 「あれ、ね」 ナルトとサクラが顔を見合わせる。 「1,2・・・5人。丁度良かったってば」 何が? 大いなる不安を抱きつつ、全員が心の中で呟いた。 「はい、ナルト」 「ありがとう、サクラちゃん」 笑顔で何やら書類を受け取ったナルトは一同に一枚ずつそれを渡していく。 「・・・何だ?」 「木の葉の里子ども会・・・」 「皆で作ろう・・」 「おひな様!・・・・?」 「・・いったい、これ何?ナルト」 「読んだ通りだってば。木の葉の里の子ども会で、実際の人間を使って雛壇を作るらしいん だけど・・・5人ばやしだけが決まってないらしくて依頼がきたんだってば!」 「「「「・・・・俺たち上忍にかっ!?」」」」 「・・いや、私は中忍ですが・・・」 4人の横でひきつりまじりにイルカが呟くが、当然それは無視される。 「たかが5人ばやしなど・・そんな依頼が受けられるものかっ!」 人一倍プライドの高いネジがばしんっと依頼書をテーブルに叩きつける。 「いくら暇だからといって、5人ばやしは無いだろう」 サスケの言葉にアスマも頷く。 「ナルトがお雛さまで俺がお内裏様だったら考えないでもなかったんだけどね〜〜」 「私は別にかまわないぞ、ナルト」 元アカデミー教師で現教頭のイルカだけがあっさり頷いた。 「駄目だってば、皆受けてくれないと!・・・報酬はSクラス並に用意するってば?」 何故そこまで力を入れる? 依頼としてはDクラス、下忍並だというのに。 「すげー楽しそうだってばっ!」 結局はナルトがただ単に楽しみたいだけらしい。 「・・・そんなに見たいのか?」 「うんっ!それにネジもサスケも、アスマ先生もカカシ先生も、イルカ先生も!5人ばやしの 衣裳すっげー似合うと思うんだっ!見たいな〜皆の・・・ カッコイイ ところ」 「「「「・・・・・やろうじゃないか」」」」 「「・・・・・・・。・・・・・・・・・・」」 サクラとイルカがあきれ返った視線を四人に、そしてナルトに向けた。 ナルトはそれににこり、と笑う。 ・・・・・・・・・策士だ。 サクラとイルカはそんなナルトにしみじみと思った。 |
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
+あとがき+
お久しぶりの火影ナルトです(笑)
スレナルじゃなくても最強。
やっぱりナルトは強くないと!(え。)