Two each other challenging

作: アイス 様








バッタン
けたたましい扉は、音をたてて開け放たれた。
豪奢な扉は、みしりと悲鳴を上げてもろくも崩れ去った。
「何て、弱い作りな扉だってばよ!」
さて、こんなとこ長居は無用だった。騒ぎの中心は、間違いなく
おれ自身なのだから。
城の中心部の、寝室から出てきたおれは追われていた。
城の住人は、まだ寝入っていう頃だろうか。
ただ、兵士達だけは違うのだ。城の安全を、守る彼らは夜遅くから
朝方まで警備をしている。
逃げ足は、俊足と評判だったからまず逃げ切れるだろう。
罠さえなければの話だが。
「逃げたぞ!追え!」
そんなに、騒がなくったっていいだろうに。
「この国の、王子と寝ただなんて最悪だってばよ」
いささか、演技が残る言葉遣いでふとこれまでの経緯を思い出した。
道ならぬ、旅は路銀も底をついた。
故郷へ戻るために、なんでもしなければならなかった。
物乞いでも、掏りでもやったほうがましだったろう。
「一晩、お前は高貴な方と床を共にしてくれさえすれば謝礼は
いかようにも」
胡散臭い女は、おれに話を持ちかけてきた。
背に腹は代えられない。
おれは、その手に乗った。相手が、例え男だとしてもだ。
その一夜は、瞬く間に過ぎた。
だが、相手はおれを離そうとしなかった。
「一晩じゃ足りるか」
契約違反もいいところだ。金にならないと悟ると機会をうかがい夜になってから
素早く逃げ出した。シツコイ王子だ。賞金首にでもなったら、たまらない。
したら、終わりでそれでいいだろうが。
「金受け取ってから逃げればよかったか」

「逃げられるとでも、思っているのか」
「王子か」
漆黒を纏ったような黒い髪と、流麗なその姿。
間違いなく、この国の王子であるうちはサスケだった。
ナルトは、舌打ちして逃げ道を確保しようとした。
「ほら、寝所にもどれ」
「冗談」
「さっきと、随分態度が違うな」
「あんなこと、一度っきりで終わりだよ」
冷たい何の感情もない声は、サスケの身を凍らせるほどだ。
「他の女と寝れば?」
「・・・・・」
「早く、そこをどけ!」
「気に入った。いや、惚れたというべきだろうな」
「なんだと?」
ふざけたことを抜かすアホだとナルトが判断した時に手が回された。
かわそうとしたが相手の動きの方が素早かった。
「逃げるのか?あんな、中途半端にしただけで」
「なんだと!あんなのは、本気じゃなぇよ」
「だったら、挑むか?」
「当たり前だ!コケにされて故郷に帰れるか!」
「ふんっ!だったら、来いよ」
「望むところだ!」
腰に回った手をつねりながら、再度かわそうとしながら長い夜は
始まることになった。
「吼えづらかくなよ!」
「まったく、単純な奴だ」
苦笑いを浮かべて、余裕で飄々とした王子は気色ばむナルトに口付けた。

「勝負事には、熱くなってしまうな。まぁ、いいか」
口付けを避けることもなしに、深く情熱的に口付けを返してやった。










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アイス様コメント
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スレナルなはずなのにどこかサスケに負けているような
パラレル小説です。 


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ありがとうございました!!
スレナルなのに、まんまとサスケの挑発に載せられてしまう
ナルトが大変可愛らしいです〜〜!!
サスケって王子役が似合いますよね!!

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