何?俺は高いよ?



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 気分は最悪だった。





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 木の葉の里の息がかかった遊郭で、俺は任務に励んでいたわけだ。
 あ?女を抱いてたのかって?
 そんなわけないだろ、ボケ。
 俺が遊女に化けて男を騙してんの。
 俺としては基本的に任務するときには”ナルト”の姿のまま任務するほうが少ないからさ別にそれが
 女だろうと気にしないが、周りの連中が煩い。
 そういうわけで俺は誰にも告げることなくここまでやってきていたのだが。

 な〜んで、一番煩い相手にこんなところで会うんだか。

 庭を挟んで向かい合った部屋で、カカシが遊女にしな垂れかかられていた。
 たまたま開いた障子のわずかな隙間から、カカシと目が合う。
 途端にカカシの顔色が変わった。

 ちっ・・・・気づかれたな。

 俺は心の中で唾を吐き、カウントを始めた。


 5・・・4・・・


 ドタドタドタドタッ・・・ッ


 3・・・2・・・



「・・・いち・・・・」








 どぐぅがぁっっん!!






 盛大な音をたてて、障子が俺の任務のターゲットもろとも吹き飛ばされた。


「ナ・・・・っんぐっ!!」
「叫ぶな。俺は任務中だ」
 男と遊んでいたお手玉をカカシの口に放り込み、部屋の端で失神しているらしいターゲットにちらりと
 視線を走らせた。

「なななな・・何やってるの!?」
「だから、任務」
 俺は冷静に答えてやる。
 これだけの物音をたてても誰もやってこないあたり、さすが忍び宿。

「そんな任務ダメだって言ったでしょ!」
「俺は”わかった”とは言ってない」
「俺が嫌なのっ!」
「別に俺は嫌じゃない。それよりも邪魔するな、殺されたいか?」
「ナルトが俺を殺す前に、あの男を殺す」
 ・・・ふざけんな。
 俺はカカシを睨みつけてやったが、珍しくも引くつもりはないらしく隙をうかがっている。
 ・・・冗談じゃないってことか・・・・ちっ。

「・・・俺にこの任務は出来ないと馬鹿にしてんのか?」
「違うっ!俺はナルトが好きだからっ・・・こんなことしてほしくないのっ!」
「こんなこと、な・・・」
 こんな任務より余程酷いことをしてきた自覚が俺にはある。
「ナルトが・・ナルトの体に知らない奴が触れるのは嫌だ」
「・・・なんで俺がお前の意見を聞かないといけないんだよ。だいたいてめぇこそこんなところに遊びに
 来てんじゃねぇよ。相手はどうした、相手は?」
 俺の言葉にカカシが目に見えて焦り、もごもごと凄い勢いで言い訳をはじめた。
「いや、俺はほらっ!そのっ!あの・・・生理現象というかっ!いや、だからね!本当は俺はナルトが
 いいんだけど、ナルトはさせてくれないでしょっ?だから仕方なく、ね?」

 ・・・・アホだな。


「ナルトっ!俺にはナルトだけだからっ!!」
「うるさいっ」
 手間隙かけて着込んだ着物に手をかけられて、俺は容赦なくカカシの頭に肘鉄を落とした。
 カカシはあっけなく地に沈む。
 




 全く、こいつのせいで任務はだいなしだ。
 





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