『 何でも屋開業中!』
昔のように骨が浮き出るように細い背中ではない。
筋骨隆々、とはいかないがそれなりの筋肉が骨を支えている。
すっぽりの腕の中に納まりそうだった小さな体は適度に伸び、すらりとした手足が白いシーツの上に力なく落ちている。
幼さを残していた頤はすっきりとし、大人らしい優美な弧を描く。
美しい人間だった。
「・・・何じろじろ見てんの」
だが、形のいい唇から漏れた言葉は昔の通り少々粗野で、きつい眼差し。ブルーサファイアが濡れたように光っている。
「目の保養だ」
「馬鹿なこと・・。そんなの自分で鏡でも見てれば?」
「自分など見てどうする。・・あの頃はどちらかといえば『可愛らしい』といった感じだったが化けたものだ・・・想像はしていたがな」
「・・・そうだよね、無茶してくれたよ・・・」
眉がしかめられた。
「そうか?・・抑えていたほうだったが。あまりに無理をさせると壊しそうで恐かった」
「ふざけんな」
睨んでくる顔に笑い、顔を近づけた。
「その点、魔晄を浴びてよかったな」
「何?」
「遠慮なく体力の続く限り、抱ける」
ぱっくり開いた口が、ぱくぱくと言葉にならない言葉を紡ぎ・・・白皙の顔が朱に染まった。
「・・死ねっ!!」
凄まじい速さで飛んできた枕を受け止め、横たわる体にのしかかる。
「・・っセフィ・・っ」
「クラウド。・・・まだまだいけるだろう?」
「・・・っ!!!!」
翌日、テーブルの上に置手紙があった。
『実家に帰らせていただきます』
と殴り書きされていた。