AC-F 2
「まだ、に500G」
「オレもまだに1000G」
「ボクも1000G」
「「「…………」」」
「ダメじゃないか。皆『まだ』だと賭けにならないよ」
「そんなこと言ってもな~」
「兄さんはまだに決まってっだろ!」
「泣くなよ、ロッズ」
「兄さんは、まだ清らかな体なんだっ!」
「でも、バックバージンはセフィロスが持ってっただろ」
「だから泣くなって、ロッズ」
三人兄弟は今日も仲良く忘らるる都の一角に建てられたこじんまりした家で、和気藹々と賭けに興じていた。今日の賭けのお題は……
「兄さんは、まだ童貞!に……600G!」
「それならオレも1500G」
「どーんと、2000Gかな」
どんどん金額は上がっていくものの、これでは賭けにならない。
「だって兄さん、奥手にもほどがあるくらい奥手だしね」
「セフィロスが手つけたとき、まだ男も女も知らなかったらしい。……で、追われてる間も傍に居たのはハリネズミだけだったはずで、廃人状態で女なんて抱けるわけない」
ハリネズミって誰だ。
「その後も、幼馴染に再会したものの記憶ぶっとんでで、考えるのはセフィロスのことばっかり。おまけに邪魔も入ったりして」
「それやこれで2年。その間も、あのティファて女と一緒に居るとこ見てれば……」
「「全然まだだな、てことは一目瞭然」」
カダージュとヤズーは深く頷きあう。
「兄さんは純粋なんだーっ」
外見のわりに、一番乙女チックな夢見るロッズは叫んだ。
「……で、実はどうなんだ、クラウド?」
「……っ……!!!」
キッチンに立つクラウドの隣で、セフィロスがにやにやと見下ろしている。
顔を真っ赤にしたクラウドは(恐らく羞恥と怒りの相乗効果)、持っていた包丁をまな板につき立真っ二つにすると。
「お前ら、いっぺん死んでこいっ!!」
クラウドの放ったコメテオが、こじんまりした家を粉々に破壊した。