45.リング 【NARUTO・火影スレナル】









 全ての中心にあるもの。
 それを中心に出来るもの。

 リング。まったき環。


 





「本日の予定は、午前中にアカデミー視察、出資大名との会合。午後からは砂と霧よりの使者との話し合い。
 夜には暗部にお出ましです」
 火影という仕事は傍で見ているよりも忙しい。
 サスケがナルトに告げたのは通常の執務に重ねていれられた予定であり、依頼受付や確認、振り分けなどの
 日常の仕事の合間に入っている。
 まさに休む暇も寝る暇もない。
 ほとんど、連日こんな状態が続いているが、ナルトにはまるで疲れた様子は無い。
 側近とされるサスケとて、ナルトがいつ休んでいるのか知らなかったりする。

「午後の話し合いは霧だけでいいだろう。砂は・・・我愛羅だろ。来てるの」
「ああ」
「どうせ暇つぶしに来たんだろ、そんな相手をする暇は俺には無い」
「だが、来ているものをどうしろと?」
「痺れをきらしたら、勝手に好きなように帰るなり、忍んだりするだろ」
「・・・・それを放置しておけと?」
「いや、相手してやれば?」
「・・・・・・・・。・・・・・・・・・」
 つまり、サスケと我愛羅の攻防を見て楽しむつもりらしい。
 サスケと我愛羅、初対面の頃から愛称は凄まじく悪かったが、ナルトを挟んで以来、更に酷くなっている。
「最近またあいつ強くなったみたいだからな、遅れをとらないように気をつけたほうがいいぞ」
「・・・俺があいつに劣るとでも?」
「さぁ」
 まるで関心の無いナルトの様子に、サスケの拳に力が入る。
「・・・・俺は、あんな奴に負けるかっ!」
 執務机に、抱えるほどの依頼書を叩き置くと、あっという間に姿を消した。
「・・・単純」
 その依頼書をちらりと見ながら、ナルトの口元が僅かに歪んだ。














「ナルト〜、会いたかったよぅvv」
 飛びついてきたカカシを僅かな動作で避け、わき腹に一蹴りいれた。
「・・・うっ」
「鬱陶しい。いつも同じ登場の仕方をするな」
 カカシの背後に居る、暗部の仮面を被った一団はいつもの遣り取りなのか、僅かの動揺も無い。
「お前らも、こいつにしっかり鋼鉄製の鎖でもつけておけ」
「無理言うなよ。鎖して重石までつけて湖の中沈めても、無理だな」
「・・・・・それもそうだな」
「それって公認っ♪・・・ということで」

 ガキッ!

 カカシの被っていた仮面の中央にクナイが突き刺さる。

「それ以上くだらないことを言うなら抹殺するぞ」
 ナルトの言葉に冗談は無い。
 するというなら、確実にするのだろう。それをわかっていながら、諦め悪くナルトに付きまとうカカシもある意味凄い。
「だって、今回の任務ナルトとペアでしょう〜vv嬉しくってv」
「別に初めてというわけじゃないだろうが・・・そんなに俺とペアなのが嬉しいのか?」
「もっちろんっ!」
 ナルト、顎に手をあてしばし何事か思案する。

「・・・今日の相手はシカマルに変更」
 と言われ、カカシは驚愕の叫びをあげ、シカマルは『めんどくせ〜』と言いつつ顔をゆるませた。
「ど、ど、どうしてっ!?何か俺に不満???」
「何かも何も、全てが不満」
 一刀両断に斬り伏せられる。
「・・・・そんなこと言われると、俺、やる気なくしちゃう〜」
「ふ〜ん、で役に立たなくなるのか?」
 ナルトの鋭い瞳がカカシを貫く。
「・・・・・」
 奇妙な圧迫感が部屋に居る者たちを包んだ。
「・・・・ちゃちな任務なんてすぐに終わらせて、ナルトの後を追うっ!」
「・・・・勝手にしろ」
 たちまち、カカシの顔が笑み崩れる。



 実にカカシを”うまく”使用する、ナルト・・・六代目火影に暗部たちは改めて尊敬の念を抱いた。



 それを常に中心にまわる。リング。
 











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