20.翼ある闇 【NARUTO・カカナル】
「・・なんで、お前なんかと任務なんだか・・・」 心底嫌そうに吐き出され、さすがのカカシも涙が出そうになった。 こんなにもカカシの心はナルトを求めてやまないというのに、いっこうにナルトはわかってくれない。 「そんなこと言って〜、嬉しいくせに照れちゃってv」 くじけそうになる気分を軽い言葉で盛り上げようとするが、ナルトはますます気温を下げる。 他の人間ならば、形ばかりでも気分よくさせる方法は幾らでも思いつくのに、ことナルトに対する時だけは 抱く思いが強すぎて、思い通りになったことがない。 「くだらないことばっか言ってないで、行くぞ」 「あ、待って待って」 暗部の装束に身を包んだ細い躯が、カカシの前を走っていく。 頼りなく、華奢で、今にも壊れそうなのに、そのうちに秘める力は誰よりも強い。 (ああ・・どうしよう・・・) Sランクの任務中だというのに、カカシは理性を打ち破りそうな衝動に翻弄される。 この目の前の、細い躯を・・・ (・・・抱きしめたい) 腕の中に、かき抱き、閉じ込めてしまいたい。 その体を、感じていたい。 「・・・・っおいっ!」 「ん〜何ぃ?」 「てめぇ、やる気あるのか?」 ドスのきいた声がカカシのすぐそばから聞こえる。 「もちろん〜vvせっかくのナルトとの任務なんだからvv」 ナルトと二人きり。どこからも邪魔は入らない。二人だけの時間。 それをカカシは無駄にする気は無い。 「ねぇ、ナルト」 「・・・・・」 「ナルト〜」 「黙れ、任務中だ」 「好き、だよ」 シュンッ、と殺気をこめたクナイがカカシの頬をかすめて飛んでいった。 「・・・・死んでろ」 ああ・・警戒心むきだしのハリネズミ。 こんなにも好きだというのに、思いはいつでも一方通行でしかないのだろうか? ・・・・いや。 それならば、カカシはとっくに殺されている。それだけが、ただ一つの希望。 「・・・まったく、これのどこがエリート・・」 「え?え?見えない?今なら庭つき一戸だて、素敵な旦那サマまでオプションでついてくるよ、どう?」 「エンリョします。そんなもん・・・・俺には、必要ない」 話はこれで終わりだと、ナルトはカカシに背を向けた。 闇に解ける、闇の装束。 けれど、カカシには見えるのだ。 ナルトのその背に広がる、純白の翼が。 闇をつらぬく、眩き光りが。 「ナルト・・・・」 愛しているよ。 |