春宵
‐しゅんしょう‐



【ATTENTION!!】
とってもパラレルです。
陽子が高校生です。一応。でも最強です(は?)
陽子を今の設定で高校生にしてみたかったんです!
ちょっとした出来心だったんです・・・・・・

以上。






 新年最初の登校日。
 それはこの学園でも特別な日である。
 新学期が始まる際の式典はドレスコードがあり、生徒たちは紳士淑女ならぬ令息令嬢としてそれなりな格好を披露しなければならいのだ。
 学校側の狙いとしては社交の場というものに慣れて貰おうとのことだが、生徒たちはちょっとしたお祭り気分である。
 ドレスコードにはただ一つの規定がある。

 『美しくあること』

 いったいここは何の学校なのか初めて聞いた者は揃って首を傾げる。
 ともかく新学期の始まる冬休みに生徒たちは揃ってどんな格好をしようか頭を悩ませることになる。






 そして、ここに三年の教室に顔を合わせて小声で話している美少女が二人居た。
「……陽子の格好見た?」
「見たわ……あれはヤバイと思うわ」
 鈴と祥瓊である。彼女たちも生徒の一人としてドレスアップしている。
 祥瓊は青を基調としたマーメイドラインのドレスでポイントに白のレースが飾られ上品さを出している。
 一方の鈴はピンク色シフォン生地で下に行くほど色が薄くなるアンクル丈の可愛らしいドレスだった。
 二人ともよく似合っている。
 そんな二人は前日に陽子が着るという服を見せてもらっている。
 陽子が着ているわけでもないのにその衣装を見ただけで二人は衝撃のあまり意識が刈り取られそうになった。
 あれを陽子が着る、それを想像しただけで当日の学園の阿鼻叫喚の図が思い描かれたのだ。
「パーティ、大丈夫なのかしら」
 始業式はパーティ形式で進められる。
 そんな場所にあれを着た陽子が現れて無事に司会進行されるのだろうか。
 司会進行を負かされている生徒会に所属する祥瓊に鈴は憐れみの視線を注いだ。
 しかし祥瓊は、開き直っていた。
「ふ、いざとなれば陽子を前に立たせておけば静かになるわ」
「……」
 友人を使う気満々の祥瓊に賞賛と呆れの視線を鈴は捧げた。


 きゃーっ!!!!!!!!!


 破壊音ならぬ黄色い悲鳴があがった。
「来たみたいね」
「ええ」
 二人は立ち上がり二階にある教室から校門を見下ろした。
 そこには今まさに送迎の車から降りた陽子の姿があった。その周囲にはぽっかりと空間が空いて登校してきた生徒たちが囲んでいる。誰もが陽子の姿に視線を向けて外せないでいる。
 そんな陽子が身に纏っているのはドレスではない。
 しかし文句なしに美しい。

「だって動きやすいだろう?」

 前日に陽子はそう言っていた。
 陽子はそう……ダークブラックの式典用軍服を身に纏っていた。
 式典用の軍服は黄金のモールなどで胸元が飾りつけられていて、エポーレット(肩章)が背後からの太陽の光を受けてきらきらと輝いている。
 しかも何よりも踵までの長さのある外套が身半分を隠して、風に翻っていた。
 
 え、もう何これ。
 誰かが衝動的に敬礼している。
 無理も無い。
 しかもそんな周囲を見た陽子が悪乗りして口元を笑みに歪めると敬礼に応えるようにぴんと伸びた答礼で応える。

 再び大地を轟かすような悲鳴が起こる。

「……やりすぎよ、陽子」
「もう、何も言わないわ」
 このままの勢いでどこか国を一つ滅ぼせるんじゃないかしら。
 そんな祥瓊の独り言に鈴は乾いた笑いを零すことしか出来なかった。














新年明けましておめでとうございます!
軍服陽子が書けて楽しかったです!(おい)