春宵
‐しゅんしょう‐
5



【ATTENTION!!】
とってもパラレルです。
陽子が高校生です。一応。でも最強です(は?)
陽子を今の設定で高校生にしてみたかったんです!
ちょっとした出来心だったんです・・・・・・

以上。









 彼女たちは最初から仲が良かった訳では無い。













「ごめん、君の想いには応えられない」
 一世一代の告白だった。恥ずかしさを我慢して、漸く決意しての告白だった。
「そ、そうよね。私こそ、ごめん」
「ごめんね、君が嫌いだからじゃないんだ。でも……他に好きな人が居るから」
「あ、そう」
 何だそれ、ある意味逆告白か。唐突に鈴の頬に上っていた熱が引いていくのがわかった。
「そういうことだから!」
 少年は逃げるように鈴の前から掛け去った。
 残されたのは振られたみじめな少女だけ。人気の無い中庭にひゅるりと風が吹いていく。
「……どーせ、私なんか」
 卑屈になったって仕方ない。こういう時は。
 思いっきり泣いて、忘れよう。そう決意した鈴だった。……そう、振ったはずの男が戻ってくるまでは。
「え……」
「ねえ君、君のクラスの祥瓊さんと親しい?」
 おい。
 鈴は低く心の中で突っ込みを入れた。
「……別に」
「そっか残念」
 何がだ。
「ごめん、じゃまた」
 また、て何がだ。

 ふつふつと。ふつふつと。
 鈴の中で怒りのマグマが噴出してくる。

っざけんじゃ無いわよっ!!!!!!

 鈴の八つ当たりの拳が目の前の木に突き刺さった。
「……っ痛」
 もちろんそんなことをすれば痛い目を見るのは鈴のほうだ。ただの中学生なのだから。
 半泣きになって右手を抱えた鈴に、くすりと声がした。上から。
 ……上?
 何故そんなところから声がするのかと呆然と見上げた鈴はそこに人を見つけた。
 木漏れ日の中から申し訳なさそうに顔を出しているのは、親しくは無いがよく知っている顔だった。
 何しろ相手は学校一の有名人と言っても過言では無い。
「ごめん、覗くつもりは無かったんだ。……ちょっと降りるから下がってくれるか?」
 呆然としていた鈴は言われるままに数歩下がる。
 すると幹を伝って降りてくるとばかり思っていた相手が……すとん、と。見事なジャンプを決めた。
 長い赤い髪が、ふぁさりと流れ落ちる。
 ああ、綺麗だな。現実逃避きみに鈴はそんなことを思っていた。
「手は大丈夫か?……ああ、赤くなっているじゃないか」
 可哀想にと鈴の手を取って、どこからか取り出した湿布を貼っている。
「ちょっ……」
 その湿布の冷たさに鈴は我を取り戻した。
「ああ、あまり急に動かさないほうがいい」
「そうじゃなくてっ!……見てたのね?」
「それは……すまない。だが、私のほうが先客だったんだ」
「そうでしょうけどっ!だったら最後までバレないように隠れてなさいよっ!!!」
「え……」
 まさかそんな風に罵倒されるとは思っていなかったのだろう。
 相手が目を丸くする。
「ぷっ……ははは、そうだな。でも貴方の手が気になったから」
「鈴、よ」
「だから、私は大木鈴」
「そうか、私は中嶋陽子だ。よろしく」


 そうして陽子と鈴は言葉を交わすようになった。














かしまし娘・・の章(笑)